ステファン・カリーの秘密

先日、久しぶりに帰った娘とふたり、炬燵でのんびりしながら、彼女の好きな動画をスマホで見せてもらっていたときのことです。

彼女の好きなタレントや、あこがれのアスリートをみせてもらうのは、久しぶりでした。相変わらず「嵐の大野君」を支持しつつも、離れて過ごす間に、また新しい人が娘の”憧れリスト”に加わり、「へえ~」と「ほ~」の連続でした。

バスケットボールが好きな彼女は、最近のお気に入りの「ステファン・カリー」の動画を見せて、私を驚かせてくれました。コートの遠くから次々に放たれるスリーポイントシュートが、吸い込まれるようにどんどんリングに吸収されていくのです。本当に、魔法使いのような技でした。

「ステファン・カリーの上達の秘密はね・・・」と娘は得意げに私に教えてくれました。「シュート打ってね、ミスったときに、普通の人なら『あぁぁ…』って落ち込んだり、反省したりするけど、ステファン・カリーはそれをしない。落ち込まないで、次の瞬間また打つわけ、はずれてもはずれても、落ち込まないで、とにかくどんどん打つ、それが上達の秘密らしいよ」。

初めて聴く考え方でした。

私も子ども達も、10代の頃は、球技にのめり込んだけれど、たいがいの場合、試合中にミスをすれば、監督や仲間や二階席の応援団から失望の声がかかり、自分でも自分自身をペシッとぶったりしながら自分を責めたものです。でも考えてみれば、そのワンアクションで次のプレーが一秒遅れたのも事実です。

ステファン・カリーにもきっと初心者時代はあったはずで、シュートをはずしてしまうことはきっとたくさんあったのでしょう、それでも彼は、一瞬たりとも落ち込まず、ただただひたすら次のプレーをしかけたというのです。ディフェンスする方はたまらないでしょうし、それが彼のシュートの精度を上げるコツだというわけなのでした。

娘から聞いたこの話が、何日たってもなぜか頭を離れません。

「反省しない、自分を責めない」って、ありかもしれない。もしかしたら私たち日本人は、少しだけ「反省しすぎ」なのかもしれません。

「きちんと反省しよう」とか「自己評価」とか「PDCA」とか、私たちは毎日のように自分に言い聞かせています。私たちはとにかく「自分自身に厳しいこと」を良しとするけれど、その姿勢が、実は次のプレーを遅らせ、ミスへの恐れを抱かせ、上達の妨げになっているかもしれないのです。「自分を責めない主義」で一流のシューターになったステファン・カリーの秘密に触れ、ふと気づかされたのでした。

「良いとか悪いとか考えない(判断を手放す)」これは「禅の教え」という本に書いてあった言葉です。

思えば私たちは、自分の行動にも、まわりの人の行動にも、常に「良いか悪いか」「マルかバツか」と瞬時に評価をくだします。それこそ、毎秒毎秒、頼まれても求められてもいないのに、です。

その「判断しすぎ」「ダメ出ししすぎ」「反省しすぎ」な自分たちの癖に気づき、ちょっとだけステファン・カリーの真似をしてみようかな、チェックしない、ジャッジしない、ひとからの評価も気にしない、そう思い決めたら、すうっと心が楽になり、落ち込みすぎない自分に出会えるかもしれません。

 

 

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