冬支度

一日一日と秋が深まり、急な寒さの訪れた朝、目が覚めて、布団を這い出したものの、寒くてもう一度布団に戻りたくなる、そんな季節を迎えました。週末の度に、少しずつ冬支度をすすめています。

炬燵にも暖かい布団を着せました。いまどきの炬燵布団は、不思議な素材でできていて、ふわふわもちもちとしたあたたかい手触りに驚きます。仔猫か何かを触っているような、何とも言えない感触に、こころが癒されるのを感じます。 “冬支度” の続きを読む

森のワイナリー

久しぶりに地元のワイナリーに行きました。深い山の中に忽然とあらわれるその「葡萄酒工房」は、森全体の樹々を、ヨーロッパのワインの産地から連れてきたという噂のとおり、足を踏み入れた瞬間に、国籍不明の森がひろがり、樹々の生みだす新鮮な空気に、発酵したぶどうの香りが混じりながら、独特の風を吹かせています。

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「いま、ここ」にある幸せ

「ある日、学校の廊下をひとりで歩いていた時、ふと気づきました。今、窓から入る涼しい風が気持ちいい なんて思いながら この夏の制服を着て廊下を歩くことは、もうないのです。高校生という日々が、私の人生の中で2度と来ない、貴重な時間なんだと気づきました。今、この時を大切にしよう、そう思うのです。」高校3年生の彼女は、進路への試験を控えて、重く神経質になりがちな季節なのに、こんな生き生きとした文章を書いてくれました。素敵です。

高校生の彼女から、大人の私の方が教えられた気がします。「いま、ここ」にある幸せを味わいながら生きる ということについて。

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人生を照らす炎 その「種火」の話

以前、「大切な出会い」というタイトルで、短い作文を書いてもらいました。その中に忘れられない作品があります。

それは、幼かった日の、おじいさんとの思い出を書いたものでした。彼のおじいさんは幼い彼を、本当に可愛がり、毎日のように彼を連れ出しては、遊ばせてくれました。

ゲームセンターに連れて行ってくれた日、おじいさんは必ず孫に、「ママに言っちゃだめだよ」と、言ったそうです。お母さんは、自分の子をおじいさんがゲームセンターに連れていくことを、教育上よくないことと考えていたようです。

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サミシ カナシ 

夏の終わりの金曜日の夕方でした。近づいてくる台風にそなえて、ほとんどの人が早めに帰宅し、人の姿もまばらになりました。週明けの臨時のお休みも決まりました。本当は、以前から約束してあった彼女との練習も、早く切り上げて安全に帰宅させなければ、と思いながら、私は彼女を迎えました。

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7年8か月のトンネルをぬけて

人はなぜ、人を侮蔑し、攻撃するのでしょう。思うに、そうやって周りの人の注目を、少数の「悪役」に向けさせることで、多数派の自分たちの立場が盤石になり、より安全になるからだと思います。

つまり、「誰かをみんなで攻撃するのが上手な人」ほど、実は「自分への攻撃を恐れている人」なのだと思います。だから、真の敵は、自身の「不安」なのです。

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『地獄』から『極楽』への扉

そこには、お腹をすかせた人々と、大きなテーブルに盛られたごちそうがあります。人々はみな、1メートルほどもある長い長い箸をもたされ、それを使わないことには、食べることはできません。

人々は、乱暴に人を押しのけてテーブルの前に陣取り、われ先にとごちそうを口に運ぼうとします。後ろから、押しのけられた人から罵声が跳びますが、そんなことに構ってはいられません。自分が生き延びるためには、競争に勝たなければやがて飢えてしまうでしょう。

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沖縄というふるさと

家族と沖縄に行き、沖縄の友人たちとともに食事をしたのは、ちょうど2年前の今ごろです。沖縄の素晴らしさは、景色や食べ物もさることながら、何といっても「人」なので、どうしても、素敵な人たちと語らいたいと思ったのです。沖縄では、お盆をはじめとする先祖供養の行事を大切にするのですが、私たちが訪ねていった日は「内地(本土)」にとってのお盆時期で、沖縄では旧暦にしたがうから、時期がずれてるし大丈夫よ と明るく迎えてくれたのでした。

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その『罪悪感』はもういらない

「今年のお盆は、『帰省するかどうか』を慎重に考えて・・」「帰省するな とは言わない」「本当は自粛してほしい」「オンライン帰省をすすめます」「帰省する人を差別しないでほしい」・・・・。政治家や有識者の発言が次々とニュースとなり、それがまた新たな論議を呼んでいるようです。この国の人々にとって「お盆の帰省」というものはよほど重要な課題なのでしょう。人々は「正解」を求めています。「みんなは どうする? 私はどうしたらいい?」と。

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休もうよ

「こころの休憩所」のドアに、かぼそいノックの音がして、開けるとそこに彼女が立っていました。

はりつめた神経の糸が今にも切れそうなほどに見えました。こきざみに震える手と、うつむいたままのまなざし、血の気のない唇を見ながら、私は懐かしい友人を迎えるように招き入れます。8年の間に、ここを訪れ、やがて出て行った多くの若者たちが、最初の一歩をこうして踏み入れてくれた記憶を、デジャヴのように思い返しながら。

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「塔の上のラプンツェル」に見る『愛』について

部屋の中で17年間もステイホームした女の子が、18歳の誕生日の前の日に、生まれて初めて「外に出る」物語、「塔の上のラプンツェル」は、ディズニー社が莫大な費用をかけて、世界中の18歳の若者に、18歳のこころを知っている大人に、そしていつか18歳を迎える子ども達に贈った作品だと思います。

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愛しいモノたち その3

不安に支配され、どうしようもなくこころがざわつく日、家にも職場にも居場所がないような気になります。この世のどこにもいたくない、心が塞いでしかたがない、そんなとき、私は休暇を取り、仕事場を離れて、クルマに乗り込み、ハンドルを握ります。

行き先はいつも、クルマで40分くらいの場所にある神社です。パワースポットとして有名な、『あの』神社です。芸能人や皇室の方々がお忍びで訪れるそうですが、最近では某首相夫人が訪れ、炎上する形で話題になってしまいました。

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