「自尊」のすすめ

朝、起きたときは、まず、ごく普通の体調で、当たり前の時間に目覚めるという「偉業」を成し遂げた「自分を尊敬」しましょう。それは、本当に貴重で、立派なことなのだということに気づき、「今日を普通に生きてる私ってエライ!」と、まずは自分自身を褒めましょう。

夕方、一日を終える頃の自分には、多少の失敗があったとしても、誰かに激しくダメ出しをされたとしても、「今日も頑張って生きた私はエライ!」と「自分を尊敬」し、自分の頭をヨシヨシと撫でましょう。それを毎晩の習慣にしても良いくらいです。

最近の世界の状況を見ていると、「普通に今日を生きる」ことが、どんなに難しいことかと考えさせられます。

最近、知人の中でも、特に仕事に対して誠実で優秀な人が、病に倒れたという知らせを数々受け取りました。私がそんな年齢になったからでしょうか。それともこの「コロナ時代」の影響もあるのでしょうか。

心身の疲れから「心の病」を発症したというアスリートや芸能人が、立て続けに話題になっています。どの人も私のあこがれの人です。才能があって、頑張り屋で、努力を重ねて誰にも真似できないような結果を出してきた人が、「心の病」にかかってしまう時代です。

それなのに、彼らをさらに追い詰めるような評価を下したり、攻撃したりする論調の発言はあとをたちません。

つくづく、人類というものは、他者に厳しすぎる生き物たちだと思います。そんな風に、他者を厳しくジャッジするほど、自分にも厳しくならざるを得なくなる、「ただ生きている」だけではダメなような、自分の存在を肯定できないような不安に苛まれることにもなるようです。

自分がただ生きている。それだけで自分を尊敬するのは、許されないことなのでしょうか。

生きている。それだけで、自分が果たしている役目の大きさに気づいてみてください。それだけで、あなたは周りの人をどんなに支えているのかと。

オリンピックとパンデミックがせめぎあう6月に生きている私たちは「ダブルバインド」という名の苦難の時代を生きています。どう行動しても、どんなに知恵を絞っても、「これが正解だ」という安心感には、しばらくの間たどりつけそうにはありません。

正しくあろうとする人ほど、自分を尊敬できず、苦しい思いをしていることでしょう。苦しいからこそ、誰かを裁きたくもなるのでしょう。「心の病」を得た人に、さらなるジャッジを加えるような厳しさの正体を、私は「時代の病」と考えます。

だからこそ、まずは自分を褒めてあげてください。普通に今日を生きる自分が、どんなに尊いかに気づいてください。なにも成し遂げなくてもいい、評価を受けなくてもいい、結果を出さなくても良い、今の自分のままで充分OKだ、と心に決めてみませんか。パンデミックを生き抜く今の、期間限定でもいいから、自分へのダメ出しを止め、まずは「尊敬」から始めてみませんか。

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