夏が終わりました。騒がしい世界のはしっこの、九州のかたすみで、日々を淡々と送りながら、過ぎたいくつもの夏が、ときどき心に浮かびました。
家にこもるのに疲れた日は、山に行きました。人のいない九州の山々、クルマで2時間も行けば、標高が高く温度も空気感もがらりと違う高地にたどりつくことができます。
ふと思いついて、小学6年生の夏の、思い出の場所に行ってみました。かつて集団宿泊施設としてさかんに利用された「青年の家」です。人けはなく、立ち入り禁止のロープが張られて閉鎖されたその建物は、子どもの頃に見た、あの威容も活気もありませんでした。それでも周囲の山々や、自然散策コースなどは、あの日のままの姿で、この場所に、40年以上の時を経て戻ってきた私を迎えてくれました。
1977年、夏休みを控えたある日のことでした。小学生の私はバレーボールチームのコーチに呼ばれ「スポーツ少年団の合同キャンプに行くように」と言われました。