私一人の展示館(原風景4)

 

少し大きくなると私は、家の近くの空き地で一日をすごすようになりました。そこには大小の石が永遠に転がっていました。私はその石をけり、転がし、その石を芸術品のように見極め、ひとつひとつ拾っては、大切に、空き地と道路を隔てる、一段高くなったコンクリートの境界に、並べていきました。

そこは、私の空想の博物館でした。私は空想の中で、この世で一番の鑑定士であり学芸員でした。私は並べた石を眺め、満足しました。しかし不思議なことに、その小さな展示は、次の日には、だれかの手によって、きれいに取り払われ、何もない、ただのコンクリートのへりになっていたのです。

来る日も、来る日も、それは繰り返されました。今思えば、誰かまともな大人が、道のわきの、コンクリートの境界を石で汚すいたずらな何者かに辟易しながら、毎日毎日、掃除を繰り返していたのでしょう。首をかしげながら、腹を立てながら、石ころに悩まされていた誰かのことを思うと、おかしいような、申しわけないような気持ちになります。

ただの子どものいたずらでした。ごめんなさい。

でも、本人だから知っています。外で過ごしても、誰も迎えにこない子どもは、人に理解されないような、空想遊びで、長い一日を過ごすことを。

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