さよなら 過去の発信たち

今月を最後に このサイトをたたむことにしました。

2019年の1月からの5年間、長い間、ひとりで発信を続けて来ました。

表現することは、私にとって必要なことでした。くせの強い自分の人生を、表現することによって、確認し、誰も見ていなくても、自分なりに正当化しようとして、一生懸命、来し方をふりかえってきたのでしょう。

こうして私を支えてくれた発信が、一冊の本を産みだしてもくれました。

けれど、その本に書かれていることすら、もはやそれは過去の記憶であり、今の私ではありません。

私自身は常に更新されて、日々新しく生まれ変わっている、記録にとどめた情報は、一刻一刻一瞬一瞬古びていき続ける。

そのことに気づいた私は、発信し、とどまり続ける過去の私を、一回撤収し、新しい自分としてリスタートしようと思うのです。

しばらく発信をお休みし、もしかしたら何か他のツールで発信を再開するかもしれません。しないかもしれません。未来のことは何もわかりません。

ただ 今確実に言えることは

このサイトが、私のこころと命を救ってくれたこと。新しい数々の出会いをくれたことに感謝しているということ。そして私はもう、何もしなくても大丈夫な命に生まれ変わったということです。

長いあいだ、ありがとうございました。そして、さようなら、またいつかお会いしましょう!

 

「先生」を辞めました。

「‍学校の先生」を、この春退職しました。58歳、与えられた年限より5年早く、自分自身で幕を引きました。あたたかく見送ってくださったみなさん、36年間に出会ってくれたみなさん、本当にありがとうございました。

1988年春、大学の教育学部を卒業した私は、子どもの頃からの「学校の先生になりたい」という夢を叶え、浮かれていました。そんな私を嘲笑うかのように、現実は厳しいものでした。

心と体を損なうことなく、こうして無事に退職できたのが、正直「奇跡」のようにも思えます。

教員生活は、楽しいことも多かったのですが、思えば「ほっとする」瞬間は、一秒もありませんでした。私のもてる力の斜め上をいく難しい責任が、毎秒毎秒、試練のように私を待ち受けていたからです。

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そこに私も

あの朝、体に流れ込んできたあの感覚は、たしかに初めてのものでした。

そのくせ、「あっ そうだった!」と、まるで忘れていた何かを思いだしたような驚きをも感じたのでした。

よく晴れた高原のコテージで、澄んだ空気の中、深い眠りから醒めた私は、ひとり部屋を抜け出し、朝の露天風呂に入りました。そのあと家族とともに、レストランへ移動し、朝食のテーブルに着きました。そして、最初のひとくちに選んだのが、今朝牧場から届いたばかりの、真っ白い牛乳でした。

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旅する理由

2022年は、旅の日常が少しずつ戻ってきた年だったと思います。感染のリスクを頭の隅におきながらも、家の中に閉じこもることなく、そろそろと動き出し、小さな旅に再び踏みだした年でした。移動中の交通機関の中では誰もがマスクをつけたまま、行儀よく沈黙しています。あらゆる場所の入り口で検温をし、手指消毒をすることにもすっかり慣れました。制限を受けた旅であっても、2年ぶりに許された今年の旅には、以前とはまったくちがう胸のふるえを感じました。

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後悔しても

「後悔のない人生の秘訣は『決して後悔しない』と決めること」という言葉に出会ったのは、ごく若い頃でした。誰の言葉だったか思い出せませんが、当時の私は、人生の決断をする必要に迫られており、背中を押してくれたこの言葉を、今も忘れることはありません。

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愛しいモノたち その5

ほどよく小さく、硬質な車体、目立たないけれど上品な白、かわいらしい涙目の顔、店の片隅に置かれたクルマに一目ぼれして、少し無理して買ったのは、14年前のことでした。それから私の生活はがらりと変わりました。

生まれて初めてのナビゲーション・システムは、方向音痴で地図が苦手だった私に、「どこにでも連れて行ってあげるよ」と約束してくれました。

初めてのETCカードを手に入れ、初めて自分のクルマで高速道路に乗りました。「どこにでも、ひとりで行けるんだ」という可能性を得たことで、自信が湧いて来たのを覚えています。

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自分でできる やってみる

生まれて初めて、家の窓の「網戸の張替え」に挑戦しました。

長年のほころびであちこちに傷みが目立ち、今年の夏を迎える前に、是非張り替えなければと思っていました。

今までであれば、どこかの業者さんに電話をして予約をし、家に来てもらってお金を払ってお願いする作業でした。でも今回は自分でやりました。

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ついていかない(ついていけない)

二月も、もうすぐ終わります。「二月は逃げる」と言うように、本当にあっという間に日々が過ぎていきます。

三寒四温という言葉もあるようですが、最近、気温の振れ幅が大きくて、三日か四日のうちに真冬と初夏の間を行ったり来たりしているようです。体への負担も大きいし、服装を選ぶのも一苦労ですが、これも季節感ですね。こうして三寒四温の日々を過ごすことで、季節は新しい方へ向かっているのでしょう。 “ついていかない(ついていけない)” の続きを読む

カラダの声を聴く

やはり年齢は嘘をつかないのでしょうか。あの日を境に、腰や背中がキリッ、ピキピキ、と痛むようになりました。「あの日」とは、3年間つながった高校生を見送り、ふと孤独と自由時間を手に入れた、あの日です。まるで、長いこと私自身に無視されていた私自身の体が「待っていました」とばかりに自己主張を始めたようでした。

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