やわらかい表面にナイフで傷をつけると、指に従ってするすると皮がむけます。ひろがる香りとともに汁が滴るから、お皿で受け止めなければなりません。荒くカットして口に入れると、めったに味わうことのない旬の味が、口いっぱいに広がって、その瞬間、ああ今日は7月7日だ と、思いました。
船を下りる時
今朝の毎日新聞の「人生相談」の欄に目がとまりました。
「20年以上、両親の経営する町工場ではたらき、父からモラルハラスメントを受けていることを最近自覚した」という妻子ある44歳の男性の悩み相談に です。
イギリスへの旅の話5 ずっとサヨナラ
ぎゅっと思い出の詰まったホスト・ファミリーとの生活に、終わりの時が近づいていました。日の長さが、一日一日長くなっていく季節でした。長い冬が終わり、街ではイースターの準備が始まっていました。
イギリスへの旅の話4 大学に住む幽霊
ケンブリッジは街全体が大学でした。行き交う学生たちは、毛玉の浮いたセーターを着て、ものすごく古い自転車の荷台に本をくくりつけて走り抜けて行きます。イギリスでの暮らしに少し慣れた3月初旬、私はその街を訪ねたのでした。700年以上のこの大学の歴史を、生い茂る樹木の巨大さが物語っていました。
イギリスへの旅の話3
11歳のカレンは、落ち着いた性格の、優しい目つきの女の子でした。サラサラの金髪を私にあずけて「編み込みにして」とせがみ、 丁寧に編んであげると、合わせ鏡で、自分の後姿をながめて、うれしそうにしていたのを思い出します。
9歳のデボラは、巻き毛で、遠視用の眼鏡をかけていました。ひょうきんな性格で、サッチャー首相のものまねが得意でした。マイケル・J・フォックスが大好きな女の子でした。
イギリスへの旅の話2
私が、初めての海外となるイギリスに向かったのは、1986年の春でした。初めてのパスポートを取り、初めてのスーツケースを借り、初めての飛行機に乗って成田空港に行き、初めての海外への航路に乗ったのです。20歳でした。
飛行機は、キャセイパシフィック機でした。バーレーンで給油したので、23時間かかる長旅になりました。地球の回転に逆らって飛ぶということが物理的にどういうことなのか、よくわからないながら、窓の外の雲海を夕日がいつまでも照らしていたような気がします。(逆に帰りは、短いうちに何度も夕日と朝日が訪れていたような記憶があります。)
遠くに行きたい 小3一人旅 そしてイギリスへ1
ずっとずうっと遠くへ行きたい
こどものころから、「ここではないどこかへ行きたい」と、願う思いが心のどこかに、いつもありました。
初めて一人旅をしたのは、小学校3年生の秋でした。一人でバスに乗って、母方の親戚の家に一人で泊まりに行きました。
1984年 あのころの大学の空気(その2)
大学に入り感じたことで、あきらかにそれまでの高校生活と違うのは、誰もが「周りに合わせず、ひとりひとり、自分のペースで歩いている」という事実です。
1984年 あのころの大学の空気
1984年の春のことでした。
私は大学生になりました。地元の大学でした。いよいよ受験校を決めるというときになり、突然親からすすめられたその大学は、それまで希望していた他県の大学とはちがい、山のなかにあって、周囲にほとんどなにもなく、華やかさのない大学でしたが、私は言われるまま進路希望を変更していました。親に逆らうという発想自体がなかったからです。
一度きりの受験が私に許されたのは 授業料も安く、実家から仕送りを受けずに卒業する友人もいたほどの、苦学生にも優しい大学でした。 “1984年 あのころの大学の空気” の続きを読む
「猫を棄てる」考
村上春樹の「猫を棄てるー父親について語るときに僕の語ることー」を読みました。(すみません、作家の敬称を略させてください)
その手はくわない
「働く女性の声を受け『無職の専業主婦』の年金半額案も」というネット配信の記事に対し、「働く女性」達から、「そんなこと一言も言っていないのに」「勝手に対立構造を作るな」と批判が殺到している・・・という話題が盛り上がっていますね。さすがに 私も 驚きました。
長い休みの終わり
連休の終わりを迎える日、テレビのニュースでマイクを向けられた人は、大人も子どもも、「いやだ、学校もう行きたくない」「休み明けの仕事がつらい」と言います。ずーっと休みだったらいいのに と。みんなそうなのでしょうか? “長い休みの終わり” の続きを読む
「イベント家族」からの逃走(!)
「連休、どこか行きますか?」「休みはどうしますか?」そんな会話を聞きながら 子どもが小さかった頃は、頑張ってあちこちに遠出していたなあと思います。
でも家族4人とも社会人になったばかりの今年の気分は、「休みは休もう」と思います。「ただ休みます」それが理想の連休の過ごし方です。
幼なじみの男の子
「かわいい」とは「相手をおびやかさないこと」・・・この春、上野千鶴子さんが語った、「女の子たち」が、親から「翼を折られ」てきた という言葉に、自分の若い時代をふりかえった女性も多かったのではないでしょうか。