愛しいモノたち その3

不安に支配され、どうしようもなくこころがざわつく日、家にも職場にも居場所がないような気になります。この世のどこにもいたくない、心が塞いでしかたがない、そんなとき、私は休暇を取り、仕事場を離れて、クルマに乗り込み、ハンドルを握ります。

行き先はいつも、クルマで40分くらいの場所にある神社です。パワースポットとして有名な、『あの』神社です。芸能人や皇室の方々がお忍びで訪れるそうですが、最近では某首相夫人が訪れ、炎上する形で話題になってしまいました。

“愛しいモノたち その3” の続きを読む

愛しいモノたち その1

今日は夏至です。太陽が遠くの山の端にいつまでも明るく残っています。わたしたちの星は、今しっかりと顔をあげて、太陽に向き合っているのだなあと、今年のこの日は特に感じます。コロナウイルスの影響で、世界は、地球は、確かにつながっているのだと、いやでも実感したせいでしょうか。フィンランドの人々は、今ごろ白夜を過ごしているんだろうな、なんてことを、行ったこともないのに想像してしまうのも、実は今年が初めてです。2020年、急に世界は狭くなったものです。 “愛しいモノたち その1” の続きを読む

昭和の遺物を葬るとき 

私は、贈り物をすることが苦手です。贈る側にとっては、デパートで選んで包装してもらえば、それきり見ることもないまま終わりますが、もらった方にしてみれば、それからの人生の長い時間、見るたびにくれた人のことを思い出し、使い込んで古びても、捨てるに忍びなくて捨てることもできず、まして使わずに「タンスの肥やし」にしたままのモノたちは、もっと申しわけなくて捨てることができず、そんな「モノたちの末路」を思うと、「長く記念になるもの」を贈るなんて、私には恐ろしくてできません。

“昭和の遺物を葬るとき ” の続きを読む

粉とバターと砂糖とタマゴ

粉とバターと砂糖とタマゴ、バランスはだいたい200:100:100:1。隠し味に塩をひとつまみ、ざっくりこねてバタークッキーを焼きます。

素朴で高カロリーなバタークッキーは、育ち盛りの子どもたちにこそふさわしいということを、大人になって知りました。歳を重ねるといつのまにか忘れてしまう、あの濃厚なバターの風味を強く求めていた、懐かしい時代を思い出します。

“粉とバターと砂糖とタマゴ” の続きを読む

勝ち負けのない 夏

高校3年生、それはきわめて大切なときです。人生の岐路に立ち、大切な選択をし、一日一日を輝いて生きる時期、ひとつひとつの経験が濃厚な意味をもち、生涯忘れえぬ季節。

そんな若者たちを応援し、励ます思いの強い私にとって、コロナ禍による「インターハイ中止」「甲子園中止」それと同時に文化部のさまざまな大会の中止は、あまりにも重いものでした。 “勝ち負けのない 夏” の続きを読む

ひとつの結末(100投稿を節目として)

書き始めて1年半のこのブログも、ついに投稿回数100回目です。半世紀あまりの半生を振り返る作業も、長いことかけて ここまでたどりつきました。

朝のコーヒーを自分のために丁寧に淹れながら、今日という一日を祝う自分に気づきます。自分がOKかNGか、生きる価値があるのかどうかという評価を気にしていた日々のことを、嘘のように遠く感じます。

“ひとつの結末(100投稿を節目として)” の続きを読む

「コロナ後の新しい世界」のために

今年も連休は家にいました。「何もしないで家にいる連休」が好きな私にとっては、去年と変わらない過ごし方です。

例年の連休中は、テレビや新聞、ラジオによって、満員の新幹線や、高速道路の渋滞を見せつけられ、身体はじっとしていても、人々の「へとへと」をもらい受けていましたが、今年はそれもありません。

私は一日中家で過ごし、晴れの日は晴れに感謝し、雨の日は雨を聴いて過ごしています。なにもないことが実は一番贅沢なことなのだと感じています。 “「コロナ後の新しい世界」のために” の続きを読む

続・自分レスキュー その6 (素直な心の)

チエコさんとの付き合いは、ヘアカットをしながら、世間話をする、いつもの関係に戻りました。ただ、あれから、メンタルケア後の私の生活が、どんな風に変化したかを語り合うのも楽しみのひとつになりました。

ある日、ヘアカット代を払うとき、チエコさんが、私にこう言いました。

「同じケアをしても、癒しに成功できない人もいるよ。あなたが心を開くことができたのは、あなたが素直な人だから。」

“続・自分レスキュー その6 (素直な心の)” の続きを読む

続・自分レスキュー その5(語りかける)

空気のなかに、近づいてくる雨の匂いを感じます。春から夏へと空気が変わっていくのを感じながら、ひとり机に向かっています。心の中で、私は、父に、そして母に、こころで語りかけます。

お父さん、お母さん、私は、あなたたちにとって、どんな存在なのでしょうか。親の思い通りにならない、親不孝者の、世間的に恥ずかしい娘でしょうか。「産んで損した」娘なのでしょうか。

“続・自分レスキュー その5(語りかける)” の続きを読む

続・自分レスキュー その4(ひとの心をあきらめる)

両親の子ども心を癒すというメンタルケアをしてから、脳内に不思議な現象が起こり始めました。

一昨年の夏、旅先で搭乗までの時間つぶしに見た「未来のミライ」というアニメ―ション映画の記憶が、何度も頭の中に浮かぶようになったのです。前評判も何も知らず、本当にたまたまタイミングよく始まったから見ただけの映画です。

“続・自分レスキュー その4(ひとの心をあきらめる)” の続きを読む

続・自分レスキュー その3(負の連鎖を断つ方法)

さらに私はチエコさんの声を聞きながら、目を閉じたまま、イメージを続けました。

「その部屋の奥に、ドアがあります。ドアの向こうに、お父さんがいます。さあ、お父さんにも聞いてみてください。どうして?って。」

父もまた、5歳で父を亡くし、愛着の問題を抱えた人でした。

“続・自分レスキュー その3(負の連鎖を断つ方法)” の続きを読む

続・自分レスキュー その2(インナーチャイルド)

12年も通った美容室なのに、奥にある個室に入ったのは初めてでした。ふかふかの椅子に沈み込み、目を閉じて、心の中のイメージの世界に、私は入っていきます。

私は、幼い私に、もう一度会いに行ったのです。険しい表情の母に背を向けて、うつむいている5歳の私でした。

チエコさんは、インナーチャイルドの私を見守る私に問いかけます。「お母さんは、どうしてあなたに優しくできなかったのでしょうか。お母さんに、あなたがきいてみてください。どうして優しくできなかったの?って」

私は、一瞬考えました。

“続・自分レスキュー その2(インナーチャイルド)” の続きを読む

続・自分レスキュー その1(メンタルケアの日常化)

私に起こり続けた変化について、話を進めることにします。

12年間通っている、行きつけの美容室のオーナーで担当者である「チエコさん」が、昨年の秋から「ちょっとロンドンに行ってきます」といい始め、何度も店を留守にして、ロンドンに通い始めました。

彼女は、メンタルケアの資格取得のために研修を受け、カットやメイクやネイルの他に「メンタルケア」というメニューを始めるというのです。

“続・自分レスキュー その1(メンタルケアの日常化)” の続きを読む